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遊びの深まり

つづき

こうして始まったリレー遊びですが、なんだか盛り上がりすぎなのです。なぜって?それは、バトンを受け渡す位置が第3コーナーと第4コーナーにもあるのです。中村幼稚園の園庭がいくら広いとは言え400mトラックもあるわけではありません。しかしそこには確実に第3コーナーと第4コーナーにバトンを待ち受けるお友達がいるのです。タカシ先生は、円周の白線を引くときに、スタートラインをしっかりと書き、リレー本番に備え、また、クラス対抗の練習でもその通りにやっているのです。リレーではバトンの受け渡しは1カ所なはずなのに・・・。

なぜか解ります?そうなんです、盛り上がりすぎて本来のバトンを受け渡す位置からジリジリと後退していってしまい、まずは第4コーナーへ。「それじゃ、バトンといち早くもらえんわい!」と、本来のバトンの受け渡しをするスタートの位置から第3コーナーへ移動しちゃっているというわけ。
その写真がこれ(>_<)
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第4コーナーじジリジリ下がるの図。本来のバトンの受け渡しは、一番左でしゃがんでいる子の辺り。

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第3コーナーにも群がるの図

こうして、100M×4のオリンピックのような本場のリレーになってしまうのです。(第2コーナーには誰もいないけど…)

さて、そんなリレー遊びをみていた年長担任。タカシ先生はお友達と同時に担任にも視線を落としておったのですが、この様子をただただガン見。バトンの受け渡し位置が、移動しようが、第何コーナーにできようが、お友達が途中で割り込もうが一向にお構いなしなのです。保護者の皆様がこんな場面を目の当たりにしたなら「スタートとバトンの受け渡しはココ!皆はココで待ってるの」なんて子ども達、もしくは自分の子を優しく諭すでしょう。

しかし中村幼稚園の先生は「ガン見」でおしまい。口出しは一切しないのです。そんな先生をみてタカシ先生も「よしよし」と目を細めるのです。

なーんでか。それはね、元来子どもの遊びというものは「自由」なのです。年長組さんが自主的に始めたのは「リレー」ではなく「リレー遊び」遊びには子どもなりのルールはあるけれども、それは子どもが決めたルールであって、リレーである必要は全くないのです。ですから何がどうな風に発展(この場合は第4コーナーと第3コーナーにバトンの受け渡し位置ができたこと)していくか、させていくかは子どもに任せるべきなのです。そこでお友達が「それはずるいぃぃ〜」とか「俺もそこにいく〜!」とか「早く持ってこーーーい!」とか、そういう子ども達同士の駆け引きや折り合いがあって本当に楽しめるのです。

ですが、自由過ぎると大変なことになります。例えば逆走したり、走る場所にしゃがんでみたり。いわゆる子どもであるが故に未熟で怪我につながるような事。そうならないように先生方は「ガン見」しておるのです。

そしてもう一つ。こういう場面で先生が「こうした方がいいんじゃない?」とか「こうした方がうまくいくよ!」などとアドバイスしてしまうと、子ども達の熱は一気に冷め、一時はうまくいっていても、数分後にはちりぢりに散ってしまい、遊びが続かないのであります。そんな失敗をタカシ先生は何度しでかしたことか・・・。

ということで、中村幼稚園の子ども達も先生方も、リレー遊びを通して子どもの遊びの深まりを楽しんでいるのでありました。そして、タカシ先生はその2者をみていて、「深いなぁ…」と腕組みするのでありました。