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電話 [日記]

さぁさぁ、令和3年度3日目ですよ。お友達も少しずつではありますが「幼稚園ってこんなところ」ってのがわかり始めてきましたね。でも、まだまだわからない事の方が多くて、多分この時期は「気持ちだけで」乗り切っていることでしょう。

園見学の際に時々話をすることがあるのですが、今の新入児を大人の状態に置き換えると、見知らぬ外国に独りポツンと置かれた状態。英語圏ならなんとか文字を読んで「あっちはトイレかな?」なんてわかりそうなものですが、タイ語であったり、アラビア語であったりすると「なんだこの字は・・・」と右も左もわからず、さらに道を尋ねようにも知っている人がもちろんおらず、片言の英語も通じず「おいら、異国の地でどうしていけばいいんじゃい」と途方に暮れている。そんな感じでしょう。

そこへ、「アナタは日本人ですか?」などと声をかけられた時のあの、後光がさすような、涙がでそうな「これで助かった・・・・」という大きな安心感。「そう!日本人です!すみませんがトイレはどこですか?!!」と、一気に心を許してしまう。そんな経験ありませんか?実際タカシ先生は新婚旅行で「アナタは日本人ですか?」と裏若き女性に声をかけられ「あれをバックに写真を撮ってくださいませんこと?(おほほ)」といわれ、鼻の下を伸ばして「ガッテン!1枚と言わず2枚も3枚も撮っちゃいます!!(パシャパシャ)ついでに、ご一緒にいかがですか?」などと調子に乗りながらカメラを返し相手が日本人なのに「シーユー」なんて言ったところで、隣にいた新婚ホヤホヤの妻に「アナタって、どこでも声かけられる顔なのね」と冷たい視線を浴び、「ちが、ちがう、向こうが・・・ほら独り旅だったようだし、シャッターくらいは、同じ日本人のよしみで」などと、しどろもどろで理解を得ようにもどうにもこうにも納得してくれなくて。幸い成田ナントカにならずにはすみましたが、「それって俺のせい?」って日本に帰ってきてから異様に腹が立った思い出がある。(プンプン)

閑話休題
そういう状況ですな。ですからタカシ先生は努めて明るく、後光がさす日本人のように、「おっはよー!」って泣いてくる新入園児に挨拶したり、手をつないで教室へ行ったり、涙が止まらないお友達は抱っこをしてあげたりしているのです。

さて、今日もバスを降りて泣いて泣いて泣いてのお友達がおりました。タカシ先生はすかさず手を繋ぎ「おはよ、待っていたよ。一緒に教室に行こうか?」と声をかけますが、「ヒックヒック」と涙が止まりません。そこでタカシ先生はしゃがんでお友達の顔を覗き込み「お母さんに会いたい?じゃぁ、電話をしてあげるね!」と声をかけます。鼻水だらだら、涙ドバドバのお友達。そんなタカシ先生の声かけに「うぶん、電話してね!」っていうので、「もちろんだよ!でもね、泣いているとお母さんの声が聞こえなくなっちゃうから、涙が止まったら電話してあげるね!」なんて言おうものなら、「すかっ!」っと涙が止まり、「ほれみてみぃ、涙なんか止まっているんじゃい!誰が泣いてなんているものか!!」と言わんばかりに可愛いお顔をタカシ先生にむけて、涙でウルウルの瞳を今度はランランと輝かせるのでした。

かくして、タカシ先生は、教室に入って行ったお友達を見送った後には、お母さんには電話をかけず、お友達はお母さんに電話をかけてもらったつもりになって、満足げにクラスへ入ってき担任の先生に「おはよ」なんて挨拶しているのでありました。

もし、おうちで「お母さん、タカシ先生から電話きた?」なんて聞かれたら「はいはい、電話がきましたよ。アナタが『幼稚園で楽しそうに遊んでるよ』って言ってました♪」ってお話ししてあげてくださいね。