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生姜焼き

 普通保育が始まって、それと同時のお弁当も始まりました。午前中の自由遊びの時間、タカシ先生も園庭に出てお友達と戯れておるのです。今年の年少さんは、なんつうか愛らしく、タカシ先生が園庭を歩いていれば後ろからそっと近づき、小さな手でタカシ先生の手を握り「うふん♪」なんて満足げに笑みをこぼしたり、ぬぼーっとしているタカシ先生をみあげて「たかーっしせんせっ♪」なんて小首を傾げて見せたり、ほんと表情豊かな子ばかりです。

そうしてブラブラしているのも疲れ、テラスに腰を下ろしてみると、今度はタカシ先生の周りに年少さんが集まり出します。膝の上には年少々さんが抱っこし、左には男の子、右には女の子が鎮座しております。真後ろには男の子がおり、両斜め前にも女の子が立ってタカシ先生を見下ろし「なにしてんのーーー?」なんて笑顔を見せてくれております。

今日は10時から役員会がありましたので、タカシ先生は「んじゃこれからお仕事してくっかなー?」なんて腰をあげようとすると、左隣のお友達が「お弁当食べるの?」なんてきいてくるではありませんか。「きっとこの男の子のお父さんは、お弁当を持ってお仕事へ行っているに違いない」と踏んだタカシ先生は「お弁当も食べようかなー?今日は何が入っているんだろう。」と男の子に返すと、すかさずこう返ってきたのです。

「僕のお弁当は生姜焼きだよ!!」

タカシ先生、持ち上げた腰をもう一度おろして「なに?!今日のお弁当は生姜焼きなのか?!!」と身を乗り出して聞き直したのであります。なにせ彼は年少さん。きっと、お父さんと同じお弁当なんだ。そして3歳にして、生姜焼き弁当。最高!!!と、タカシ先生の頭の中には、白米が半分を占め、おかずの場所には生姜焼きとその汁が少ししみたレタス。隣にはプチトマトなんかが添えてあり、その生姜焼きの汁が少し白米に染みている。そんなイメージで頭がいっぱいになったのです。

そんな、ホンジャマカ石塚のような食べ物でいっぱいになったタカシ先生の頭の中をよそに、「うん、生姜焼き(ムフフ…)」とほくそ笑む年少男児。どんだけ、お弁当を楽しみにしてるんでしょう。タカシ先生は羨ましい!非常に羨ましい!!そんなお弁当、タカシ先生も食べてみたい!いや、明日は生姜焼き弁当一択!!なのであります。

といわけで、10時開催予定の役員会に遅刻した挙句、タカシ先生の頭の中は生姜焼きでいっぱいのまま、役員会に参加しているのでありました。