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欲求

今朝送迎で登園された方は気付いたかもしれませんが、今日は早々に正門を閉めておりました。正門を閉められた後に登園してきた皆様は「あ゛?!遅すぎ?!」と肝を冷やしたかもしれませんが、そうではありませんのでご安心を。

今日の登園後の自由時間。体操着に着替えた年長組男児が「タカシ先生サッカーやってもいい?!」って駆けてきました。もちろん自由時間でありますので「いいよ!サッカーボールを借りておいで!」と即答してあげたのです。そしてタカシ先生は、サッカーに混ざろうとしてるであろう仲間達に「お庭の真ん中にあるベンチをあっちに持って行った方がサッカーができるな!」などとわざとらしく声をかけ、かくしてサッカーが始まったのであります。
1学期のこの時期のサッカーはゲームには成っておらず、ボールを追いかける子犬の様にあっちにいったり、こっちへ来たり。シュート「らしきもの」もするし「キーパー」も据えているのですが、そこははなかなか思うようにボールが的を得ません。というわけで、ボールを追いかけるのに夢中になり、正門からボールを追って飛び出さないように閉めておったのです。

そして、お集まり後の自由時間。今日は年中さんと年少さんがお庭で遊んでおります。このブログを更新しているまさにこの時、事務所から見える園庭からは歓声が聞こえるのであります。そして、最近ブログを更新しておりませんでしたので、忘れないウチにと、したためておるタカシ先生です。

さて、今日のとある年少さんは滑り台をどうしてもやりたらしい。それは、わざわざタカシ先生の所へやってきて「滑り台やってもいい?」とか細い声で訴えてきたからなのであります。
そういや、この年少男児から声を掛けられるのは初めてかもしれません。入園後2ヶ月ですが、まだ幼稚園という環境に慣れていないご様子。タカシ先生は彼がちょっと浮かない顔で登園する姿を毎日見ており、「そりゃ、こんな厳ついおっさんからふっとい声で『おはよー』なんて挨拶されてもビビるわいねー」などと思いながらも、限りなく優しい笑顔でひたすら『おはよー』と声をかけておったのです。
その甲斐あって、その男の子は「このおっさんはボクには危害を加えない、ましてや取って食われることもあるまい」と確信したのでしょう。ですから5月の最終日にちょっと遠慮がちに、しかししっかりした口調で「滑り台やってもいい?」と訴えたのでしょう。
しかし、人生で一番勇気を振り絞って訴えてきた彼にこの厳ついおっさんは、満面の笑みで「いいよー!!」とは即答せず、「ん〜、今日は滑り台どうなんだろうねぇ〜。先生に聞いてきてごらん」などと返答するのです。
彼はてっきり「いいよー!」と言われると思っていたのでしょう。しかし、返ってきた答えは「自分の先生に聞いてこい」という答えで、世の中自分の思い通りになることは滅多にないのだ!!という様な社会の厳しさに直面させられたのであります。勇気を振り絞って自分の思いを口にしたのにもかかわらず、更にもう一つのハードルを与えられた彼のその表情はシオシオのパー。
しかし彼はそこで折れませんでした。自分の先生をみつけ「すべりだい・・・」と、タカシ先生に訴える以上に小さなか細い声で担任に訴え、かくして年少さんの滑り台遊びが始まったのでありました。

年長児も、年少児もこのように「自分の欲求」を親以外の大人に言葉で伝えられるようになってきたということは、小さな自信が生まれてきた賜だと、タカシ先生は密かに嬉しくまた頼もしくおもっているのであります。でも普通は、年長児の欲求には「自分で考えれ」年少児の欲求には「いいよー」だよねー。という事もタカシ先生は自覚しておる。

では、外へ行って参る。